金出地ダム建設の概要
金出地ダムの目的
金出地ダムは、上郡町金出地の「鞍居川」に建設されたダムです。
この金出地ダムにより、鞍居川沿川を洪水から守る(治水)とともに、農業用の灌漑用水の補給(利水)や川に棲む動物や植物などの保全(環境)のための流量を確保しています。
鞍居川の概要
鞍居川は兵庫県赤穂郡上郡町本町地先で千種川に合流する2級河川で、流域面積48.1k㎡、幹線流路延長12.8kmを有しています。

ダムの効果
洪水防御(治水)
平成16年の台風21号は、千種川水系に大きな洪水被害を与えました。鞍居川流域も浸水による被害を受けました。この洪水の規模は昭和51年の洪水に匹敵するもので、確率的には20年~30年に1回程度しか発生しない規模に相当する洪水でした。
もし、金出地ダムがあれば、鞍居川の被害は小さくできたのでしょうか?
平成16年の台風21号と同じ規模の洪水が発生したときに金出地ダムの働きにより、ダムのすぐ下流の鞍居川上流部では流れてくる水を120㎥/sから20㎥/sに減らす(約80%減少)ことができます。また、最下流の建武橋地点においても、420㎥/sから350㎥/sに減らす(約20%減少)ことができます。
さらに、金出地ダムは平成16年の台風21号よりも大規模な洪水(確率的には60年に1回程度発生)に対して川に流れ出てくる水を減らすことができます。
金出地ダムの建設により、洪水時の流量が調節され、河川改修とあわせて鞍居川沿川地域を洪水に対してより安全で、安心して生活のできる地域とすることができます。

農業用水の確保(利水)
現在、鞍居川はおよそ120haの田畑のかんがい用水の水源として利用され、流域の農業を支えています。
しかし、近年鞍居川の水量は減少する傾向であり、鞍居川の水を利用している稲作等に影響を与えています。特に平成6年の渇水(水不足)では、深刻な水不足が生じ、人々の生活に大きな被害をもたらしました。
金出地ダムから放流する水は、稲作等に必要な水を考慮して流量を設定しています。なお、このために確保する容量は10年に1回程度起きる可能性のある渇水(水不足)に対しても安定したかんがい用水が確保できる容量としています。
金出地ダムの働きにより、渇水(水不足)時にも安定したかんがい用水の確保が可能となっています。
河川環境の保全(環境)
鞍居川にはアユなどさまざまな動植物が生息しており、ゆたかな自然環境が多くのこっています。
また、鞍居川流域では河川敷でのイベント開催や親水公園の整備等、憩い・やすらぎの場としての河川利用が盛んに行われています。
金出地ダムから放流する水は、稲作等の農業用水の他に鞍居川に生息・生育動植物、および河川水質、河川景観の保全に必要な水についても考慮して流量を設定しています
ダムの活用により、さまざまな動植物が生息・生育でき、鞍居川が地域のみなさまにとって憩い・やすらぎの場として、愛され続けられることを期待しています。
鞍居川流域の自然環境と周辺整備
鞍居川流域には多種多様の貴重な動植物が生息・生育しています。
金出地ダムの建設にあたっては、できるだけ現在の環境を変えない工夫をし、鞍居川流域の自然環境の保全を行いました。
河川内の自然環境
鞍居川には、美しい渓流が残り「ホタル」などの動植物が数多く生息・生育しています。
周辺の自然環境
鞍居川流域には、貴重種である「マヤラン」や「オチフジ」などの植物が生育しています。
周辺の環境保全対策
学識経験者の指導をもとに、植物重要種の移植や人工増殖、移植地の管理や動物の生息環境の創出など事業実施と並行して環境保全対策を継続的に実施しました。特に影響の大きい動物については、水没域からの移植による保全などに取り組みました。
環境保全対策にあたっては、生息地内の保全を優先させて、周辺を含む生息適地の保全にも務めました。

金出地ダム周辺整備
金出地の地域活動の目的(目標)
人から人、人から自然(植物)へと命をつなぐ
地域活動を進めていくためには、取り組みに関わる人たちが共有した目的(目標)を持つことが大事であるという考えの下、金出地(鞍居地区)の地域活動の目的(目標)を、「人から人、人から自然(植物)へと命をつなぐ」としました。
金出地ダム自然植物公園や鞍居ふるさと館などを拠点にさまざまな活動が展開されています。
1.花を活かしたい
サクラや紅葉など四季の良さやオチフジなど貴重植物を活かした取り組みを進めたい
2.食を活かしたい
農作物、食べられる植物など地域で採れるものを活かした取り組みを進めたい
3.場(閉校となった鞍居小学校、遊休農地なども)を活かしたい
山や川などの自然はもとより、閉校となった鞍居小学校、空き家、遊休農地など使えるものは活動の拠点や交流の場として活用したい
4.地域で知恵を出し合い、取り組み体制を作りたい
住民が知恵を出し合い、誰が進め、誰が管理するのか地域での取り組み体制を作りたい
5.役割分担を明確にし、協働による取り組みを進めたい
地域、町、県などの取り組みに対しての役割分担を明確にした上での取り組みを進めたい
金出地ダム[兵庫県] – ダム便覧 http://damnet.or.jp/cgi-bin/binranA/All.cgi?db4=2954